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AppleのADEとは?デバイス設定が驚くほど楽になる仕組み入門

AppleのADEとは?デバイス設定が驚くほど楽になる仕組み入門
新入社員や異動者のために、何台ものiPhoneやiPadを設定する作業、「正直、面倒だな…」と感じていませんか?一台一台、箱から出して、同じ設定を繰り返すのは、時間も手間もかかってしまいますよね。
もし、そんな面倒なデバイス設定が、まるで魔法のように自動化されるとしたらどうでしょう?
それを実現するのが、AppleのADE(Automated Device Enrollment)です。
この記事は、ADEが持つ「デバイス設定が驚くほど楽になる仕組み」について、ITの専門家ではない方にも「なるほど!」と納得していただける【入門ガイド】です。
最後まで読めば、ADEがなぜこれからのデバイス管理に欠かせないのか、その理由がわかります。さあ、一緒に新しいデバイス管理の世界を覗いてみましょう。
関連記事:キッティングを自動化するには?導入手順や自動化ツールをご紹介
ADEとは何か?
まず、ADEとは何か、基本をシンプルに押さえましょう。
ADEは「Automated Device Enrollment」の略
「自動デバイス登録」と訳され、その名の通り、デバイスの登録・設定を自動化するためのApple公式のプログラムです。以前は「DEP(Device Enrollment Program)」と呼ばれていました。
一言でいうと「Appleデバイスの初期設定を自動化する仕組み」
これまでIT担当者が手作業で行っていた、Wi-Fi設定、メールアカウント設定、必須アプリのインストールといった初期設定(キッティング)を、すべて自動で実行してくれます。
"ゼロタッチキッティング"が実現できる
ADEの最大の魅力は、IT管理者がデバイスに一切触れることなく(ゼロタッチで)、従業員が箱から出して電源を入れるだけで設定が完了する「ゼロタッチキッティング」を実現できる点です。
なぜ楽になる?ADEがもたらす3つの大きなメリット
ADEを導入すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、管理者・従業員双方にとって嬉しい3つの大きなメリットをご紹介します。
メリット1:キッティング作業からの解放
これまで数日かかっていた数十台規模のキッティング作業も、ADEを使えば大幅に時間を短縮できます。担当者の作業工数を9割以上削減することも夢ではありません。
空いた時間で本来のコア業務に集中できるだけでなく、従業員へデバイスを直接配送し、届いたその日から業務を開始してもらう、といったスピーディーな展開も可能になります。
メリット2:セキュリティレベルの向上と統一
企業でデバイスを利用する上で、セキュリティ対策は最も重要です。ADEは、このセキュリティを強力にサポートします。
ADEで設定されたデバイスは、会社の管理設定(MDMプロファイル)を従業員が削除できないようにロックできます。これにより、従業員が誤って管理下から外れてしまうのを防ぎ、紛失・盗難時も遠隔でのデータ消去(リモートワイプ)などが確実に行え、情報漏洩リスクを最小限に抑えます。
また、全デバイスに共通のパスコードポリシーや必須アプリを自動で適用できるため、人的ミスによる設定漏れがなくなり、社内のセキュリティレベルを高い水準で統一できます。
メリット3:従業員(ユーザー)体験の向上
メリットは管理者だけのものではありません。デバイスを利用する従業員にとっても、ADEは大きな利点があります。
箱から出して電源を入れ、いくつかの簡単な指示に従うだけで、すぐに自分の業務に必要な設定がすべて完了した状態で使い始められます。「この設定はどうすれば?」「どのアプリを入れれば?」といったIT部門への問い合わせも減り、管理者・従業員双方のストレスを軽減します。
ADEの仕組みを理解する上で欠かせない2つのキーワード
ADEをより深く理解するために、切っても切れない関係にある2つのキーワード、「ABM」と「MDM」について解説します。少し専門的に聞こえるかもしれませんが、役割さえ分かれば簡単です。
① ABM(Apple Business Manager)とは?
ABMは、ADEを利用するための「司令塔」となる、Appleが無料で提供するWebサイトです。
ここで、「どのデバイスを(シリアル番号で管理)」「どのように設定するか(ADEの設定を割り当て)」を登録します。購入したデバイスの情報をここに登録することで、デバイスが初めてインターネットに接続した際に「この子は〇〇社のデバイスだから、あの設定を自動で適用しよう」とAppleのサーバーが認識してくれる、という仕組みです。
② MDM(モバイルデバイス管理)とは?
MDMは、導入後のデバイスを遠隔で管理・運用するためのツールです。
もしADEが「入学手続きの自動化」だとすれば、MDMは「入学後の学校生活のルール(校則)を一斉に配信・管理する仕組み」と考えると分かりやすいでしょう。
具体的には、アプリの配布や更新、パスコード設定の強制、紛失時のロックやデータ消去などを行います。ADEとMDMは車の両輪のような関係で、ADEで「導入」を自動化し、MDMで「運用」を効率化するのが、現代のAppleデバイス管理の基本スタイルです。
ADEを利用したデバイス導入の簡単な4つのステップ
では、実際にADEを利用するにはどうすればよいのでしょうか。大まかな流れを4つのステップでご紹介します。
- Step1:Apple Business Managerに登録する
まずは司令塔であるABMに、自社の情報を登録します。登録には「D-U-N-S Number」という企業識別コードが必要になるため、事前に確認しておきましょう。 - Step2:MDM(モバイルデバイス管理)サービスを契約する
次に、校則を管理するMDMサービスを選んで契約します。国内外の多くのベンダーが様々な特徴を持つMDMサービスを提供しています。 - Step3:ABMとMDMを連携させる
ABMと契約したMDMサービスを連携させます。ここで「トークン」と呼ばれる、お互いを認証するための電子的な鍵を交換する作業が必要です。 - Step4:ADE対応の販売代理店からデバイスを購入する
最後に、Apple Storeや大手通信キャリア、または正規の法人向け販売代理店など、ADEに対応した窓口からiPhoneやiPadを購入します。購入時にABMで利用する旨を伝えれば、販売店がデバイス情報をABMに自動で登録してくれます。
「設定が難しそう…」そんな時はプロに任せる選択肢も
ご覧いただいた通り、ADEの導入にはいくつかの専門的なステップが必要です。「D-U-N-S Number?」「トークン?」など、聞き慣れない言葉も出てきます。
本業で忙しい担当者の方が、一から調べて間違いなく設定を完了させるのは、大きな負担になりかねません。
そんな時は、専門業者に任せてしまうのも賢い選択です。
もっと手軽で確実な導入なら「キッティングサービス」の活用がおすすめ
キッティングサービスを利用すれば、面倒なABMやMDMの初期設定をすべて専門の技術者が代行します。デバイスの調達から設定、従業員への配送までワンストップで依頼できるため、担当者の方は本来のコア業務に集中できます。
まとめ
今回は、AppleのADEについて、その基本的な仕組みからメリット、導入の流れまでを解説しました。
- ADEは、Appleデバイスの初期設定を自動化し、管理者の負担を劇的に減らす仕組み
- 成功のカギは、司令塔である「ABM」と、運用を担う「MDM」との連携
- 自社での設定が難しい場合は、専門の「キッティングサービス」を賢く利用するのがおすすめ
ADEは、もはや一部の先進的な企業だけのものではありません。あらゆる規模の企業で、デバイス管理を効率化し、セキュリティを確保するための「新しい常識」となりつつあります。
この記事が、貴社のより良いデバイス管理環境を実現するための一助となれば幸いです。


