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キッティングを自動化するには?導入手順や自動化ツールをご紹介

新入社員や部署異動に伴うPC・スマートフォンのキッティング作業が大きな負担となっていませんか?手作業でのキッティングは時間がかかるだけでなく、設定ミスのリスクも伴います。そこで注目されているのが「キッティングの自動化」です。
本記事では、キッティング自動化の基本概念から具体的な導入手順、おすすめのツールまで詳しく解説します。キッティング作業の効率化を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
キッティングの自動化とは?
キッティングとは何か
キッティングの自動化とは、企業が従業員に貸与するPCやタブレットなどのデバイスを、業務で利用できる状態にセットアップする一連の作業(キッティング)を、人手を介さずにシステムやツールを用いて効率的に行うことです。
OSのインストールから各種ソフトウェアの導入、セキュリティ設定、ネットワーク設定、アカウント設定など、多岐にわたる初期設定作業を自動化することで、IT部門の負担軽減や業務効率の大幅な向上を目指します。
キッティングを自動化するメリット
キッティングを自動化することには、企業にとって多くのメリットがあります。まず、手作業による設定作業が不要になるため、一台あたりの作業時間を大幅に短縮し、PCの展開速度を向上させることができます。
これにより、新入社員の受け入れや異動、機器の故障時など、急なPC需要にも迅速に対応できるようになります。
また、手作業で発生しがちな設定ミスや漏れといったヒューマンエラーを排除し、すべてのデバイスで均一かつ高品質な設定を適用できるため、セキュリティレベルの向上にも寄与します。結果として、IT部門の運用負荷が軽減され、人件費や残業代といったコスト削減にもつながり、IT部門はより戦略的な業務に注力できるようになります。
キッティング自動化の主要な手法
クローニングによる自動化
クローニングは、マスターとなるPCのOS、アプリケーション、各種設定を完全にコピー(イメージ化)し、そのイメージを他の複数のPCに展開する手法です。これにより、すべてのPCが同一の環境で迅速に構築されます。
クローニングのメリット
短時間で大量のPCをセットアップできるため、キッティング作業の時間を大幅に短縮できます。
すべてのPCが同じ設定、同じアプリケーションで構成されるため、環境の標準化が容易です。
クローニングの課題
マスターイメージの作成と維持に手間がかかります。OSやアプリケーションのアップデートがあるたびに、マスターイメージを更新する必要があります。
異なるハードウェア構成のPCに展開する場合、ドライバーの互換性問題が発生する可能性があります。
プロビジョニング手法による自動化
プロビジョニングは、PCのOSインストールからアプリケーションの導入、各種設定までを、事前に定義されたテンプレートやスクリプトに基づいて自動的に実行する手法です。PCごとに柔軟な構成変更が可能です。
プロビジョニングのメリット
マスターイメージに依存しないため、OSやアプリケーションの最新バージョンを常に適用できます。PCの用途やユーザーに応じて、異なるアプリケーションや設定を柔軟に適用できます。障害発生時のシステム復旧や、新規PCのセットアップを効率的に行えます。
プロビジョニングの課題
テンプレートやスクリプトの作成、管理には専門知識が必要です。
初期設定やデバッグに時間がかかる場合があります。
Windows Active Directoryによる自動化
Windows Active Directory(AD)は、企業内のPCやユーザー、リソースを一元的に管理するためのサービスです。ADのグループポリシー機能などを活用することで、PCのキッティングの一部を自動化できます。
Windows Active Directoryによる自動化のメリット
既存のAD環境を利用して、PCのセキュリティポリシー、ネットワーク設定、ソフトウェアの配布などを自動化できます。
ユーザーやPCのグループに基づいて、きめ細やかな設定適用が可能です。
セキュリティポリシーの一元管理により、企業のコンプライアンス遵守を支援します。
Windows Active Directoryによる自動化の課題
OSのクリーンインストールやアプリケーションの複雑なインストールには限界があります。AD環境の構築と運用には専門知識が必要です。
Windows Autopilotによる自動化
Windows Autopilotは、Microsoftが提供するクラウドベースのキッティング自動化サービスです。PCをユーザーに直接配送し、ユーザーが簡単な操作を行うだけで、企業の設定が自動的に適用された状態にセットアップできます。
Windows Autopilotのメリット
「ゼロタッチデプロイメント」を実現し、IT管理者のキッティング作業を大幅に削減します。PCの初期設定プロセスを簡素化し、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。
Microsoft IntuneやAzure Active Directoryと連携し、デバイスの登録から管理までを一貫して行えます。
Windows Autopilotの課題
Microsoft 365やMicrosoft Intuneのライセンスが必要です。
インターネット接続が必須であり、オフライン環境での利用には制約があります。
ベアメダルビルド手法による自動化
ベアメタルビルドは、OSが何もインストールされていない状態(ベアメタル)のPCに対し、OSのインストールからドライバー、アプリケーション、各種設定までを完全に自動化する手法です。PXEブートなどの技術を用いて、ネットワーク経由でシステムを構築します。
ベアメタルビルド手法のメリット
完全にクリーンな状態からPCを構築できるため、不必要なソフトウェアや設定が含まれるリスクがありません。高度な自動化が可能であり、大規模なPC展開や障害からの迅速な復旧に適しています。ハードウェアに依存しない汎用的なキッティングプロセスを構築できます。
ベアメタルビルド手法の課題
初期設定やシステム構築には高度な専門知識と技術が必要です。ネットワーク環境やサーバーインフラの準備が不可欠です。
キッティング自動化の導入手順
現状分析と要件定義
自動化プロジェクトの第一歩は、現状のキッティングプロセスを詳細に把握し、自動化によって何を達成したいのかを明確にすることです。
現状の課題洗い出し
現在のキッティングにかかる時間、コスト、人的リソース、発生しているエラーや非効率な点を具体的に洗い出します。どの工程で時間がかかっているのか、どのような設定ミスが多いのかなどを特定することが重要です。
自動化の目的設定
「キッティング時間の〇〇%削減」「年間〇〇円のコスト削減」「設定ミスのゼロ化」など、具体的な数値目標を設定し、自動化の目的を明確にします。これにより、プロジェクトの方向性が定まり、効果測定も可能になります。
対象デバイスと要件の定義
自動化の対象となるPCやモバイルデバイスの種類、OSのバージョン、展開するアプリケーション、必要なセキュリティ設定、ネットワーク設定などを詳細に定義します。将来的なデバイス増加や環境変化への対応も考慮に入れると良いでしょう。
自動化ツールの選定基準
現状分析と要件定義に基づき、最適な自動化ツールを選定します。多種多様なツールがあるため、以下の基準で比較検討することが推奨されます。
対応OSとデバイス:自社で利用しているWindows、macOS、LinuxなどのOSや、PC、タブレット、スマートフォンといったデバイスに幅広く対応しているか。
機能性:OSの自動インストール、アプリケーションの展開、各種設定(ネットワーク、セキュリティ、ユーザープロファイルなど)、パッチ適用、資産管理といった必要な機能が網羅されているか。
操作性と学習コスト:ツールのインターフェースが直感的で使いやすいか、導入後の運用担当者がスムーズに習得できるか。
スケーラビリティ:将来的に管理対象デバイスが増加した場合でも、柔軟に対応できる拡張性があるか。
セキュリティ:キッティングプロセスにおけるセキュリティリスクを最小限に抑える機能や、セキュリティポリシーへの準拠をサポートする機能があるか。
サポート体制と実績:ベンダーのサポート体制が充実しているか、導入実績が豊富で信頼できるか。
コストパフォーマンス:初期導入費用だけでなく、運用費用も含めたトータルコストが予算に見合っているか。
既存システムとの連携:Active Directoryやクラウドサービス、IT資産管理ツールなど、既存のITインフラとスムーズに連携できるか。
テスト環境での検証
選定した自動化ツールや手法を本番環境に導入する前に、必ずテスト環境で十分な検証を行います。
テスト環境の構築
実際のキッティングプロセスを再現できる小規模なテスト環境を構築します。本番環境で使用する予定のデバイスやアプリケーションを準備し、自動化スクリプトや設定を適用します。
キッティングプロセスの実行と評価
テスト環境で自動キッティングを複数回実行し、以下のような点を評価します。
・OSやアプリケーションが正しくインストールされるか。
・設定が意図通りに適用されているか。
・想定通りの時間でキッティングが完了するか。
・エラーや予期せぬ問題が発生しないか。
・キッティング後のデバイスが正常に動作するか。
問題が発見された場合は、原因を特定し、設定やスクリプトを修正して再テストを繰り返します。安定した運用を実現するためには、この検証フェーズを徹底することが不可欠です。
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まとめ
キッティングの自動化は、IT資産管理の効率化とコスト削減を実現するため、企業運営の迅速化に不可欠な存在です。クローニング、プロビジョニング、Windows Autopilotなど多様な手法の中から、自社の規模や要件に最適なものを選ぶことが成功の鍵となります。
もし自社での導入が困難な場合は、東信システムサービスのような専門のキッティングサービスを利用することで、より確実に、そしてスムーズに自動化が実現可能となります。


