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キッティングサービスに関するコラム

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パソコンのデータを完全に消去する方法|復元不可能にする3つの方法と注意点

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パソコンの廃棄や譲渡、リースの返却時に、単にファイルを削除したりフォーマットしたりするだけでは、データは完全に消去されません。専用のツールを使えば、削除したはずのデータを復元できてしまうため、情報漏洩のリスクが残ります。

企業において、個人情報や機密情報の漏洩は重大なセキュリティインシデントにつながります。特に近年では、個人情報保護法の厳格化やGDPRなどの国際的な規制強化により、データ消去の重要性はますます高まっています。

本記事では、パソコンのデータを復元不可能にするための3つの方法と、データ消去時の注意点について解説します。

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パソコンのデータ消去が重要な理由

通常の削除やフォーマットでは不十分

パソコンのデータを削除する際、多くの方が「ゴミ箱からの削除」「ファイルの削除」「OSの初期化」「ディスクのフォーマット」といった方法を思い浮かべるかもしれません。しかし、これらの操作だけでは、データはストレージ上から完全に消去されたわけではありません。

通常の削除やフォーマットは、データへのアクセス経路を断つ「論理的な削除」に過ぎません。データそのものはストレージの物理的な領域に痕跡として残存しており、市販のデータ復元ソフトウェアや専門的な技術を用いることで、容易に復元されてしまう可能性があります。

特に、個人情報や機密情報が含まれるデータがこのような状態で残されていると、情報漏洩のリスクが非常に高まります。

企業に求められるデータ消去の責任

企業が使用していたパソコンを廃棄、譲渡、またはリース返却する際には、そのパソコンに保存されていたデータの完全消去が不可欠です。企業は、顧客情報、従業員情報、取引先情報、営業秘密といった多種多様な機密情報を扱っており、これらの情報に対する厳格な管理責任が求められます。

日本の個人情報保護法をはじめとする法令は、個人情報の適切な取り扱いを義務付けており、データ消去はその重要な一環です。情報漏洩が発生した場合、企業は法的責任を問われるだけでなく、社会的信用を失い、ブランドイメージに深刻なダメージを受けることになります。コンプライアンス(法令遵守)の観点からも、データ消去は企業の重要な責務と言えます。

情報漏洩による企業への影響

万が一、企業が保有するデータが不完全な消去によって外部に漏洩した場合、その影響は甚大です。まず、情報漏洩の規模や内容によっては、被害者への損害賠償責任が発生し、多額の金銭的負担を強いられる可能性があります。

さらに、企業の社会的信用は失墜し、顧客離れや取引先の減少を招くことがあります。株価の下落、風評被害、行政からの指導や処分など、事業継続そのものに深刻な影響を及ぼすケースも少なくありません。

情報漏洩は、一度発生するとその回復に長い時間と多大なコストを要するため、未然に防ぐためのデータ完全消去は、企業にとって最も重要なリスクマネジメントの一つです。

データを完全消去する3つの方法

パソコンのデータを完全に消去し、復元不可能にするためには、主に以下の3つの方法があります。それぞれの方法には特徴があり、消去したいデータの機密性や、パソコンの再利用の有無によって適切な選択が異なります。

方法1:データ消去ソフトウェアによる論理的消去

データ消去ソフトウェアは、ストレージに記録されたデータを無意味なデータで複数回上書きすることで、元のデータを読み取れなくする方法です。この方法は、パソコンを再利用したい場合に適しています。

代表的な消去方式には、米国国防総省が定めた「DoD 5220.22-M」や、より複雑な上書きパターンを用いる「グートマン方式」などがあり、これらの国際規格に準拠したソフトウェアを使用することで、高い安全性でデータを消去できます。

ただし、物理的に故障したストレージには適用できない場合があり、またSSDの場合、ウェアレベリング機能によってソフトウェアがアクセスできない領域が発生することがあります。SSDのデータ消去には、専用のコマンド「Secure Erase」に対応したソフトウェアを利用することで、より確実な消去が期待できます。

方法2:物理的破壊による消去

物理的破壊は、HDDやSSDといったストレージデバイスそのものを物理的に破壊し、データを読み取れない状態にする最も確実な方法の一つです。この方法は、パソコンを再利用しない場合に選択されます。

専用のHDDクラッシャーやSSD破壊機を使用して、ストレージに穴を開けたり、粉砕したりすることで、データ記録面やチップを完全に破壊します。個人で行う場合はドリルなどを用いることもありますが、専門業者に依頼することで、確実に破壊されたことを示す証明書を発行してもらえるため、企業にとっては信頼性の高い方法です。

破壊後は、ストレージは再利用できなくなり、産業廃棄物として適切に処理する必要があります。

方法3:磁気データ消去装置(デガウサー)による消去

磁気データ消去装置(デガウサー)は、強力な磁気を照射することで、HDDなどの磁気記録媒体に記録されたデータを一瞬で破壊する方法です。この方法は、特にHDDのデータ消去に非常に効果的です。

デガウサーは、通電できない故障したHDDや、多数のHDDを短時間で消去したい場合に有効です。磁気によってデータを消去するため、データ記録面を物理的に破壊することなく、完全に読み取り不能な状態にできます。

しかし、デガウサーはSSDには効果がありません。SSDは磁気ではなくNAND型フラッシュメモリにデータを記録するため、磁気による影響を受けないためです。そのため、デガウサーを使用する際は、消去対象がHDDであることを確認する必要があります。消去後のHDDは再利用できません。

パソコンのデータ消去を行う際の注意点

消去前に必要なバックアップの確認

パソコンのデータを完全に消去する作業は、一度実行すると元の状態に戻すことができない不可逆な操作です。そのため、消去作業に取り掛かる前に、必要なデータがすべてバックアップされているかを確認することが極めて重要です。

個人利用のパソコンであれば、写真、動画、文書ファイル、メールデータ、Webブラウザのお気に入り、各種設定ファイルなどが該当します。企業利用のパソコンであれば、業務データ、顧客情報、社内資料、システム設定などが含まれます。これらのデータは、外付けハードディスク、USBメモリ、NAS(ネットワーク接続ストレージ)、またはGoogle DriveやOneDriveなどのクラウドストレージサービスを利用して、安全な場所に移行・保存しておく必要があります。

バックアップが完了したと思っても、念のため、実際にバックアップされたデータが正しく読み込めるか、必要なファイルがすべて含まれているかを検証する作業も怠らないようにしましょう。

ライセンス認証の解除

パソコンにインストールされているOS(Windowsなど)や、Microsoft Office、Adobe製品などの有料ソフトウェアには、ライセンス認証がされています。これらのライセンスは、通常1つのライセンスにつき1台のパソコンにのみ適用されることが多いため、データ消去前にライセンス認証を解除しておく必要があります。

ライセンス認証を解除せずにデータ消去を行ってしまうと、そのライセンスが「使用中」と認識されたままとなり、新しいパソコンで同じライセンスを再利用しようとした際に、認証エラーが発生する可能性があります。ソフトウェアによっては、オンラインアカウントを通じてライセンスの紐付けを解除できるものや、ソフトウェア内のメニューから「ライセンス認証の解除」を選択できるものがあります。各ソフトウェアの提供元が定める手順に従い、適切に解除作業を行いましょう。

消去証明書の取得と保管

特に企業がパソコンを廃棄・譲渡する際には、データが確実に消去されたことを証明する「消去証明書」の取得と保管が非常に重要になります。これは、情報漏洩リスクへの対策、企業としてのコンプライアンス遵守、そして将来的な監査対応のために不可欠です。

専門のデータ消去業者に依頼した場合、作業完了後に消去方法、対象機器のシリアル番号、消去日時、担当者名などが明記された消去証明書が発行されるのが一般的です。この証明書は、データ消去が適正に行われたことを客観的に示す証拠となります。万が一、後日情報漏洩の疑いが生じた場合でも、この証明書を提示することで、企業が適切なデータ管理を行っていたことを証明できます。証明書は、企業の規定に従い、長期にわたって厳重に保管するようにしましょう。

企業におけるデータ消去の運用体制

データ消去のポリシー策定

企業が情報漏洩のリスクを最小限に抑え、法的要件を遵守するためには、データ消去に関する明確なポリシー(方針)を策定することが不可欠です。

このポリシーには、データ消去の対象となるIT資産の種類(PC、サーバー、スマートフォンなど)、適用されるデータ消去の方法(論理的消去、物理的破壊、磁気消去など)の基準、責任者、承認プロセス、記録管理の方法、そして定期的な見直しに関する事項を明記します。

これにより、全従業員がデータ消去の重要性を理解し、一貫した対応が可能になります。例えば、個人情報保護法やGDPR(一般データ保護規則)といった法規制への対応もポリシーに盛り込むべき重要な要素です。

作業手順書の整備

データ消去作業を確実かつ効率的に実施するためには、詳細な作業手順書を整備することが重要です。手順書には、消去対象となる機器の特定から、データバックアップの確認、ライセンス認証の解除、適切な消去方法の選択と実施、消去後のデータ残存確認、そして消去証明書の取得・保管に至るまでの一連のプロセスを具体的に記述します。

標準化された手順書があることで、担当者による作業品質のばらつきを防ぎ、ヒューマンエラーのリスクを低減できます。また、担当者が変更になった際にもスムーズな引継ぎが可能となり、安定した運用を維持できます。

記録の管理と監査

データ消去が適切に行われたことを証明するためには、その記録を厳格に管理することが求められます。消去を行った機器の識別情報(資産番号、シリアル番号など)、消去方法、実施日時、作業担当者、消去結果、そして発行された消去証明書の有無などを詳細に記録します。

これらの記録は、万が一情報漏洩が発生した際に、企業としての適切な対応を証明する重要な証拠となります。また、定期的な内部監査や外部監査を通じて、データ消去ポリシーや手順書が遵守されているかを確認し、必要に応じて改善を行うことで、運用体制の信頼性と実効性を高めることができます。

従業員への教育

どんなに優れたポリシーや手順書があっても、それを実行する従業員の意識と知識が不足していれば、情報漏洩のリスクは排除できません。

そのため、データ消去の重要性、情報漏洩のリスク、自社のデータ消去ポリシー、そして具体的な作業手順について、全従業員に対する定期的な教育を実施することが不可欠です。

特に、情報セキュリティに関する意識向上研修は、データ消去だけでなく、日々の業務における情報資産の適切な取り扱いにも繋がります。新入社員研修だけでなく、定期的なフォローアップ研修を行うことで、常に最新の情報セキュリティ知識と意識を維持できるよう努めるべきです。

データ消去でよくある質問

Q1. 初期化とデータ消去の違いは?

「初期化」とは、パソコンのOSを再インストールしたり、設定を工場出荷時の状態に戻したりする操作を指します。見た目上はデータが消えたように見えますが、実際にはデータの痕跡がストレージ上に残っており、専用のツールを使えば復元される可能性があります。

一方、「データ消去」は、データを完全に上書きしたり、物理的に破壊したりすることで、二度と復元できない状態にすることを指します。情報漏洩のリスクをゼロにするためには、初期化ではなくデータ消去が不可欠です。

Q2. データ消去にかかる時間は?

データ消去にかかる時間は、選択する方法、ストレージの種類(HDDかSSDか)、容量、データ量、そして消去回数によって大きく異なります。

データ消去ソフトウェアによる消去: 数時間から、大容量のHDDでは数十時間かかることもあります。上書き回数を増やすほど時間は長くなります。

物理的破壊による消去: ドリルや破砕機を使用する場合、ストレージ1台あたり数分から数十分で完了します。

磁気データ消去装置(デガウサー)による消去: 数秒から数分で完了することが多く、比較的短時間で処理できます。

事前に専門業者に相談し、見積もりや所要時間を確認することをおすすめします。

Q3. スマートフォンやタブレットのデータ消去は?

スマートフォンやタブレットもパソコンと同様に、データの完全消去が必要です。端末の「初期化」や「工場出荷時設定へのリセット」だけでは、データが完全に消去されない可能性があります。

特にAndroid端末は機種やOSバージョンによって初期化の挙動が異なる場合があり、より慎重な対応が求められます。iPhoneなどのiOS端末は、最新のOSであれば「すべてのコンテンツと設定を消去」機能で比較的強力な消去が可能とされていますが、不安な場合は専門のデータ消去サービスを利用することも検討しましょう。

Q4. 故障したパソコンのデータ消去は可能?

はい、故障して起動しないパソコンでもデータ消去は可能です。OSが起動しない、画面が表示されないといった場合でも、パソコン本体からHDDやSSDといったストレージを取り出すことができれば、そのストレージに対してデータ消去処理を行うことができます。

専門の業者であれば、故障したパソコンからストレージを安全に取り外し、物理破壊や磁気消去装置を用いて確実にデータを消去することが可能です。自力での取り外しが難しい場合や、確実に消去したい場合は、専門業者への依頼が最も安全で確実な方法です。

Q5. データ消去後の確認方法は?

データ消去が適切に行われたかを確認する方法は、消去方法によって異なります。

データ消去ソフトウェアによる消去: 多くのソフトウェアには、消去作業の完了を証明するログやレポート生成機能があります。このレポートを確認することで、どのストレージが、いつ、どのような方法で消去されたかを確認できます。
物理的破壊による消去: ストレージが物理的に破壊されたことを目視で確認します。また、専門業者に依頼した場合は、破壊前後の写真や動画、または「消去証明書」が発行されます。
磁気データ消去装置(デガウサー)による消去: デガウサーは通常、消去結果を証明するログや「消去証明書」を発行します。

特に企業においては、消去証明書の取得と保管は、情報セキュリティポリシーの順守と監査対応のために非常に重要です。

キッティングサービスはデータ消去も含めた一括対応が可能

キッティングサービスとは

キッティングサービスとは、企業で利用するパソコンやスマートデバイスを導入する際に、OSのインストール、各種ソフトウェアのセットアップ、ネットワーク設定、セキュリティ対策、資産管理タグの貼付など、デバイスをすぐに業務で使える状態にするまでの一連の作業を代行するサービスです。

単に新しいデバイスを準備するだけでなく、既存のパソコンの回収、データの完全消去、適切な廃棄・リサイクルまでを一貫して請け負う業者も多く、企業のIT資産管理と情報セキュリティ対策を強力にサポートします。

専門業者に依頼するメリット

パソコンのデータ消去を専門業者に依頼することには、以下のような多くのメリットがあります。

確実なデータ消去と情報漏洩リスクの低減:専門知識と専用ツールを用いて、復元不可能なレベルでのデータ消去を保証します。これにより、機密情報や個人情報の漏洩リスクを最小限に抑えられます。
業務効率の向上とコスト削減:社内担当者がデータ消去作業に時間を割く必要がなくなり、本来の業務に集中できます。また、データ消去に必要なソフトウェアや機器の導入コストも不要になります。
法規制遵守とコンプライアンス強化:個人情報保護法や各種ガイドラインに準拠した適切な処理が行われるため、企業のコンプライアンス体制を強化できます。消去証明書の発行により、監査対応もスムーズになります。
IT資産管理の一元化:新規デバイスの導入から既存デバイスのデータ消去、廃棄までをワンストップで対応することで、IT資産管理の手間と複雑さを大幅に軽減できます。
環境への配慮:データ消去後のデバイスの適切なリサイクルや廃棄も行い、環境負荷の低減にも貢献します。

東信システムのキッティングサービスがおすすめ

データ消去を含めたパソコンのキッティングを検討されている企業様には、東信システムのキッティングサービスがおすすめです。

東信システムのキッティングサービスは、お客様の要件に応じた柔軟な設定作業はもちろんのこと、既存のパソコンからのデータ移行、そして最も重要なデータ完全消去までを一括で対応します。ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)などの国際基準に準拠した体制で、機密性の高い企業データも安心して任せられます。

論理的消去、物理的破壊、磁気データ消去装置(デガウサー)による消去など、様々なデータ消去方法に対応しており、お客様のセキュリティポリシーやデバイスの状態に合わせた最適な方法を提案します。また、作業完了後には消去証明書を発行し、情報漏洩リスクへの万全な対策を証明します。

IT資産のライフサイクル全体をサポートすることで、お客様のIT運用における負担を軽減し、セキュリティと効率性の両面から企業活動を強力にバックアップします。

東信システムサービスのキッティングサービス詳細はこちら
https://www.kittig-toshin-ss.co.jp/about/

お問い合わせはこちら
https://www.yo.toshin-et.co.jp/contact/index.html

まとめ

パソコンのデータ完全消去は、情報漏洩リスクから企業を守り、社会的責任を果たす上で極めて重要です。単なる削除や初期化ではデータが復元される可能性があり、不十分であることを認識しなければなりません。情報漏洩は企業の信頼失墜や多大な損害につながるため、適切なデータ消去は必須の対策です。

本記事では、データ消去ソフトウェアによる論理的消去、物理的破壊、そして磁気データ消去装置(デガウサー)による消去という3つの主要な方法をご紹介しました。これらの方法の中から、データの機密性やパソコンの状態に応じて最適な選択をすることが求められます。

また、消去前のバックアップ確認、ライセンス認証の解除、そして消去証明書の取得と保管は、トラブルを未然に防ぎ、適切な処理を行った証拠として不可欠です。企業においては、データ消去に関する明確なポリシーを策定し、作業手順の整備、記録の管理、従業員への教育を通じて、確固たる運用体制を築くことが求められます。

自社での対応が難しい場合や、より確実なデータ消去を求める場合は、キッティングサービスを含む専門業者への依頼が有効な選択肢となります。専門知識と適切な設備を持つ業者に任せることで、確実なデータ消去と情報セキュリティの強化を実現できます。

情報化社会において、データは企業の重要な資産です。適切なデータ完全消去は、企業の信頼とブランド価値を守るための最後の砦となります。本記事が、貴社の情報セキュリティ対策の一助となれば幸いです。

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