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【法人向け】スマホのキッティングとは?作業内容・料金・外注先の選び方を解説

企業でスマートフォンを導入する際、台数が多いほど初期設定やアプリのインストールに膨大な時間がかかります。そこで注目されているのが「キッティングサービス」です。
スマホのキッティングを外部に委託することで、担当者の負担を大幅に軽減し、従業員がすぐに業務で使える状態で端末を配布できます。しかし、「具体的にどんな作業をしてくれるのか」「費用はどのくらいかかるのか」「どの業者に依頼すればいいのか」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、法人向けスマホのキッティングについて、基本的な作業内容から料金相場、外注先を選ぶ際のポイントまで解説します。
スマホのキッティングとは
キッティングとは
キッティングとは、企業や組織で導入するスマートフォンやPCなどのIT機器を、すぐに業務で利用できる状態に設定する一連の作業を指します。具体的には、OSの初期設定、必要なアプリケーションのインストール、セキュリティソフトの導入、ネットワーク設定、アカウント設定、各種パスワード設定などが含まれます。
単に機器を準備するだけでなく、企業ごとの運用ポリシーやセキュリティ要件に合わせて、統一された環境を構築することが目的です。これにより、従業員は端末を受け取ってすぐに業務を開始でき、IT管理者の負担も軽減されます。
法人向けスマホキッティングの目的
法人向けスマホキッティングの主な目的は、以下の通りです。
セキュリティ強化
業務利用における情報漏洩リスクを低減するため、デバイスの暗号化、MDM(モバイルデバイス管理)ツールの導入、特定のアプリケーションのみ利用可能にするなどの設定を行います。これにより、企業の重要なデータを保護し、不正アクセスや紛失時のリスクに備えます。
業務効率の向上
従業員が受け取ったスマートフォンをすぐに業務に使えるよう、必要なアプリや設定を事前に済ませておきます。これにより、従業員が個別に設定する手間を省き、導入から利用開始までの時間を短縮し、本来のコア業務に集中できる環境を提供します。
IT資産の一元管理
多数のスマートフォンを導入する際、キッティングを通じて各端末の情報を統一的に管理できる体制を構築します。MDMツールを活用することで、遠隔からの設定変更、アプリの配布、セキュリティポリシーの適用、紛失時のリモートロック・ワイプなどが可能となり、IT資産管理の効率化と運用コストの削減に繋がります。
均一な利用環境の提供
全従業員に同じ設定とアプリケーションが施されたスマートフォンを提供することで、利用環境のばらつきをなくし、サポート対応の簡素化やトラブル発生時の原因特定を容易にします。これにより、安定した業務遂行を支援します。
スマホキッティングの具体的な作業内容
スマホキッティングは、企業が導入するスマートフォンを従業員がすぐに利用できるよう、初期設定からセキュリティ対策、業務アプリのインストールまでを一括して行う作業です。ここでは、具体的な作業内容をステップごとに解説します。
端末の初期設定と基本動作確認
まず、新品のスマートフォンを箱から開梱し、電源を入れて初期設定を行います。これには、言語や地域の設定、Wi-Fiへの接続、タイムゾーンの設定などが含まれます。また、通話機能やカメラ、Wi-Fi接続など、基本的な機能が正常に動作するかどうかの確認も行います。
OS・ファームウェアのアップデート
セキュリティの脆弱性対策や新機能の利用のため、スマートフォンのOS(iOS、Androidなど)やファームウェアを最新バージョンにアップデートします。これにより、最新のセキュリティパッチが適用され、安定した動作が保証されます。
法人アカウントとネットワーク設定
企業の業務システムやサービスを利用するためのアカウント設定を行います。具体的には、Microsoft 365やGoogle Workspaceなどの法人向けクラウドサービスのアカウント設定、メールアカウント、カレンダー、連絡先の同期設定などが含まれます。また、社内ネットワークへの接続に必要なVPN設定や、特定のWi-Fiプロファイルの設定なども行います。
セキュリティ設定とMDM導入
情報漏洩や不正利用を防ぐため、デバイスに強固なセキュリティ設定を施します。具体的には、以下のような作業が含まれます。
MDM(モバイルデバイス管理)ツールの導入と設定
MDMツールを導入し、企業が定めるセキュリティポリシーを適用します。これにより、遠隔でのデバイス管理、データ消去、アプリの配布制限などが可能になります。
パスワードポリシーの設定
画面ロックパスワードの複雑性、有効期限、ロック解除試行回数などのポリシーを設定し、デバイスへの不正アクセスを防ぎます。
その他のセキュリティ設定
不要な機能の無効化(例:USBデバッグ)、紛失・盗難時の対策(リモートロック、リモートワイプ)、位置情報サービスの管理など、企業のセキュリティ基準に応じた設定を行います。
業務アプリケーションのインストール
従業員が業務で利用するアプリケーションをインストールします。これには、チャットツール、Web会議システム、社内システムへのアクセスアプリ、CRM(顧客関係管理)ツールなどが含まれます。App StoreやGoogle Playからの個別インストールだけでなく、MDMツールを活用して一括で配布・インストールすることも可能です。
データ移行とバックアップ設定(必要な場合)
旧端末から新しいスマートフォンへ連絡先、写真、ドキュメントなどのデータを移行する作業です。また、データの紛失に備えて、定期的なバックアップが自動的に行われるよう設定することも含まれます。新規導入の場合はこの作業は不要ですが、機種変更の場合は重要な作業となります。
最終確認と資産管理登録
キッティング作業が完了した後、設定されたすべての項目が企業の要件通りになっているか、チェックリストを用いて最終確認を行います。その後、各スマートフォンのIMEI番号やシリアル番号、利用者情報などを企業の資産管理台帳に登録し、配布準備を整えます。
スマホキッティングを外注する5つのメリット
①担当者の工数が削減される
法人向けスマホのキッティング作業は、端末の初期設定からOSアップデート、企業独自のアプリケーションのインストール、セキュリティ設定、MDM(モバイルデバイス管理)の導入、アカウント設定など多岐にわたります。これらを社内で行う場合、IT部門や総務部門の担当者は本来のコア業務に加え、膨大な時間と手間を割くことになります。
キッティングを専門業者に外注することで、これらの煩雑な作業をプロに任せることができ、担当者の工数を大幅に削減することが可能です。これにより、担当者はより戦略的な業務や、企業の成長に直結するプロジェクトに集中できるようになります。
②短期間での大量導入が可能
事業拡大やプロジェクト開始、新入社員の入社などで一度に大量のスマホ端末を導入する必要がある場合、社内リソースだけでは対応が難しいことがあります。手作業でのキッティングには限界があり、導入までに時間がかかってしまうと、業務開始の遅延にもつながりかねません。
専門のキッティング業者は、大量の端末を効率的に処理するための体制や設備、ノウハウを持っています。そのため、短期間で品質を保ちながら大量のスマホをキッティングし、スムーズな導入を実現できます。急な需要増にも柔軟に対応できる点が大きなメリットです。
③専門業者による品質の高い作業
スマホのキッティングには、OSのバージョン管理、セキュリティポリシーの徹底、各アプリケーションの互換性確認など、専門的な知識と経験が求められます。社内で行う場合、担当者のスキルレベルによって設定にばらつきが生じたり、設定ミスによるセキュリティリスクが発生したりする可能性があります。
外注先の専門業者は、キッティングに関する豊富な知識と実績を持つプロフェッショナルです。最新のセキュリティ要件やOSのアップデートにも迅速に対応し、均一で高品質な設定を提供します。これにより、セキュリティリスクを最小限に抑え、安定した端末運用が可能になります。
④コア業務への集中ができる
企業にとって、ITインフラの整備や従業員のサポートは不可欠ですが、これらは多くの場合、間接業務に分類されます。スマホのキッティングのような定型的な作業に社内リソースを割くことは、企業の競争力を高めるためのコア業務(製品開発、営業活動、マーケティングなど)への集中を妨げる要因となりえます。
キッティングを外部の専門業者に委託することで、社内の貴重な人材や時間を本来注力すべきコア業務へと振り向けることができます。これにより、企業の生産性向上やイノベーションの創出を促進し、事業全体の成長を加速させることが期待できます。
⑤スケールメリットによるコスト削減
一見すると外注には費用がかかるように思えますが、内製と比較した場合、総合的なコスト削減につながるケースが多くあります。社内でキッティングを行う場合、担当者の人件費、作業スペースの確保、必要なツールの購入費用、教育コスト、そして設定ミスによる再作業やトラブル対応にかかる隠れたコストが発生します。
専門業者は大量のキッティングを効率的に行うためのシステムやノウハウを持っており、一台あたりの単価を抑えることが可能です。特に大量導入時や継続的な依頼の場合、スケールメリットが働き、結果として自社で全てを行うよりも総コストを削減できる可能性があります。
スマホキッティングの料金相場
法人向けスマホキッティングの料金は、依頼する業者や作業内容、導入台数によって大きく変動します。ここでは、一般的な料金相場とその内訳、見積もり取得時のポイントを解説します。
基本料金の目安(1台あたり)
スマホキッティングの基本料金は、1台あたり数千円から1万円程度が目安とされています。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、依頼する作業内容や台数、業者によって大きく変動します。
例えば、SIMカードの挿入や初期設定、簡単な動作確認といった基本的な作業のみであれば比較的安価に抑えられますが、MDM(モバイルデバイス管理)の導入、特定の業務用アプリケーションのインストール、複雑なアカウント設定などが加わると、料金は高くなる傾向にあります。
作業内容による料金の違い
キッティング料金は、依頼する作業の範囲と複雑さによって変動します。主な作業内容と料金への影響は以下の通りです。
開封・SIMカード挿入
比較的安価な基本作業に含まれることが多いです。
初期設定・基本設定
言語設定、Wi-Fi接続設定、OSアップデートなどが該当します。
MDM(モバイルデバイス管理)導入・設定
セキュリティポリシーの適用やリモート管理ツールの設定は、専門知識が必要なため料金が高くなる傾向があります。
業務用アプリのインストール
指定されたアプリを複数インストールする場合、その数や設定の複雑さによって料金が変わります。
アカウント設定
メールアカウントやクラウドサービスのアカウント設定など、個別の情報入力が必要な作業です。
動作確認・データ移行
最終的な動作確認や、旧端末からのデータ移行が必要な場合は追加料金が発生することがあります。
資産管理ラベル貼付・梱包・発送
企業独自の資産管理番号のラベル貼付や、指定場所への配送手配も料金に影響します。
必要な作業を事前に明確にし、業者と細かくすり合わせることが重要です。
台数による単価の変動
スマホキッティングの料金は、依頼する台数によって1台あたりの単価が変動することが一般的です。大量の端末を導入する場合、1台あたりの単価が割安になる「スケールメリット」が働くことが多いです。
例えば、数十台規模のキッティングと数百台規模のキッティングでは、後者の方が単価を抑えられる可能性が高まります。これは、業者側で作業フローを効率化できるためです。小ロットでの依頼の場合、単価が割高になる傾向があるため、見積もり時に最低ロットや最低料金が設定されていないか確認しましょう。
見積もり取得時の確認ポイント
適切な料金でキッティングを依頼するためには、複数の業者から見積もりを取得し、内容を比較検討することが重要です。以下のポイントを確認しましょう。
料金の内訳
何が基本料金に含まれ、何がオプション料金となるのか、詳細な内訳を確認します。
追加料金の有無
予期せぬ追加料金が発生しないよう、緊急対応や特殊な設定、配送費など、追加で発生しうる費用について確認します。
最低ロット・最低料金
小規模な導入の場合、最低ロット数や最低料金が設定されているかを確認します。
納期と料金
急ぎの依頼の場合、特急料金が発生することがあります。納期と料金のバランスを確認しましょう。
サポート体制
キッティング後の不具合や問い合わせに対するサポート体制(期間、内容、費用)も確認しておくと安心です。
不明な点は必ず事前に確認し、納得した上で契約を進めるようにしましょう。
スマホキッティング外注先の選び方
法人向けスマホのキッティングを外注する際は、自社のニーズに合った信頼できる業者を選ぶことが重要です。費用や納期だけでなく、サービス内容やセキュリティ体制など、多角的な視点から比較検討しましょう。
対応可能な作業範囲を確認する
外注先が提供するキッティングサービスが、自社の求める作業範囲を網羅しているかを確認しましょう。単なる初期設定だけでなく、特定のアプリケーションのインストール、MDM(モバイルデバイス管理)やEMM(エンタープライズモビリティ管理)の導入と設定、OSのバージョン統一、セキュリティ設定、データ移行、旧端末のデータ消去、資産管理タグの貼付など、企業によって必要な作業は多岐にわたります。事前に自社で必要な作業内容を明確にし、それに対応できる業者を選定することが重要です。
セキュリティ体制・認証取得状況を確認する
法人向けスマホは企業の機密情報や個人情報を扱うため、情報セキュリティ対策が非常に重要です。外注先が適切なセキュリティ体制を構築しているか、以下の点を確認しましょう。
・作業場所の入退室管理や監視体制
・情報取扱いのルールや従業員への教育
・個人情報保護に関するプライバシーマーク(Pマーク)や情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証の取得状況
・データ消去方法の確実性(国際基準に準拠しているかなど)
信頼できるセキュリティ対策が講じられている業者を選ぶことで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
納期・スピード対応力を確認する
大量のスマホを短期間で導入したい場合や、急な追加導入が必要になった場合に、外注先の納期とスピード対応力は重要な選定基準となります。見積もり段階で具体的な納期を確認し、過去の実績や対応可能な台数、緊急時の対応フローなどを確認しておきましょう。導入計画に合わせた柔軟な対応が可能かどうかも、確認しておくと安心です。
料金の透明性を確認する
キッティングの料金は、基本料金だけでなく、オプション作業や追加料金が発生する場合があります。見積もりを依頼する際は、料金の内訳が明確に提示されているか、不明瞭な項目がないかを確認しましょう。
1台あたりの単価だけでなく、総額でいくらになるのか、どのような作業が含まれていて、何が別途料金になるのかを詳細に把握することで、後からの予期せぬ追加費用を防ぐことができます。複数の業者から見積もりを取得し、内容と料金を比較検討することをおすすめします。
柔軟なカスタマイズ対応が可能か確認する
企業の規模や業種、利用目的によって、キッティングに求める内容は異なります。画一的なサービスだけでなく、自社の独自の要件や複雑な設定にも柔軟に対応してくれる業者を選ぶことが望ましいです。
例えば、特定のMDMの導入・設定、社内システムとの連携、特殊なセキュリティポリシーの適用など、オーダーメイドの対応が可能かを確認しましょう。事前に具体的な要望を伝え、それに対してどのような提案をしてくれるかを見極めることが、最適な外注先選びにつながります。
まとめ
本記事で解説したように、法人向けスマートフォンの導入には、初期設定、OSアップデート、MDM(モバイルデバイス管理)の導入、業務アプリのインストールといった複雑な「キッティング」作業が不可欠です。
これらは、企業のセキュリティを確保し、従業員がすぐに業務を開始するために重要な作業ですが、同時に担当者の方々にとっては膨大な工数と専門知識が求められる大きな負担となります。
この「スマホキッティング」の課題を、東信システムサービスがすべて解決します。
当社は、案件数700件超、数千台規模のキッティング実績を誇る専門家集団です。
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