記事公開日
最終更新日
サーバキッティングとPCキッティングは何が違う?今さら聞けない基本をわかりやすく解説

「新しくサーバを導入することになったけれど、何から手をつければいいのだろう?」 「PCの初期設定(キッティング)と同じように進めて大丈夫?」
企業のIT担当者になった方や、新しくサーバ導入の担当になった方は、このような疑問や不安をお持ちではないでしょうか。
PCのキッティング経験はあっても、サーバキッティングとなると、その専門性の高さから戸惑うケースは少なくありません。実は、PCとサーバのキッティングは似ているようで、その目的や作業内容は大きく異なります。
この記事では、「サーバキッティングとPCキッティングの具体的な違い」から、「セットアップ」などの類似用語との違い、そして自社で対応する際に見落としがちな注意点まで、今さら聞けない基本を誰にでもわかるようにやさしく解説します。
最後まで読めば、サーバ導入をスムーズに進めるための知識が身につき、自社に最適な運用方法が見えてくるはずです。
関連記事:PCの導入作業を効率化させるキッティングとは?
キッティングとは?おさえておきたい基本を解説
まずはじめに、そもそも「キッティング」という言葉の意味から確認しておきましょう。言葉の響きから難しく感じるかもしれませんが、実は私たちの身近な作業を指しています。
キッティングとは「すぐに使える状態にする」作業のこと
キッティングとは、パソコンやサーバなどのIT機器を箱から出して、業務ですぐに使える状態にするまでの一連の作業全般を指します。
例えば、新しいパソコンを購入したときのことを思い出してみてください。
- 箱から出して、キーボードやマウスを接続する
- 電源を入れて、WindowsやmacOSの初期設定を行う
- インターネットに接続する
- WordやExcel、セキュリティソフトなどをインストールする
こうした「使い始めるための準備」すべてがキッティングです。企業においては、全社で統一された設定やソフトウェアをインストールし、どの社員が使っても同じ環境になるように準備することを指すのが一般的です。
「セットアップ」「クローニング」との違い
キッティングと似た言葉に「セットアップ」や「クローニング」があります。それぞれの違いを理解しておくと、業者とのやり取りなどもスムーズになります。
- セットアップ
ほぼキッティングと同義で使われますが、どちらかというと一台一台の機器に対して個別に行う初期設定というニュアンスで使われることが多いです。対してキッティングは、企業などで複数台の機器を統一仕様で導入・展開する、というニュアンスで使われます。 - クローニング
一台のパソコン(マスターPC)と全く同じ設定やデータを持った複製(クローン)を、他の複数のパソコンにコピーする作業(手法)のことです。一台ずつ手作業で設定するよりも、短時間で大量のPCを同じ仕様にできるため、キッティング作業の中の一つの手法としてよく利用されます。
【比較表あり】サーバキッティングとPCキッティング、3つの決定的な違い
キッティングの基本がわかったところで、本題である「サーバ」と「PC」のキッティングの違いを見ていきましょう。両者は目的も作業内容も全く異なり、求められる専門性も大きく変わります。
ここでは、その決定的な違いを3つのポイントに絞って解説します。
| 比較項目 | PCキッティング | サーバキッティング |
|---|---|---|
| ① 目的・役割 | 個人の業務効率化(1対1) | 組織へのサービス提供(1対多) |
| ② 作業内容 | OS設定、アプリインストールなど | RAID構築、ネットワーク設定、セキュリティ強化など |
| ③ 専門知識 | 基本的なPC操作知識 | ネットワーク、セキュリティ等の高度な専門知識 |
違い①:目的と役割
一番の大きな違いは、その「目的」です。
- PCキッティング:社員一人ひとりが使うための「個人の道具」を準備する作業です。目的は、そのPCを使う人の生産性を上げることです。
- サーバキッティング:ファイル共有やWebサイトの公開、基幹システムの運用など、組織全体にサービスを提供する「土台」を構築する作業です。多くの社員が同時にアクセスし、24時間365日安定して稼働し続けることが求められます。
このように、「1対1(PCと利用者)」の関係か、「1対多(サーバと組織全体)」の関係か、という根本的な役割の違いがあります。
違い②:作業内容と複雑さ
目的が違うため、当然ながら作業内容も大きく異なります。
PCキッティングは、OSの基本的な設定や業務で使うアプリケーションのインストールが中心です。
一方で、サーバキッティングには、以下のようなPCにはない専門的で複雑な作業が含まれます。
- ハードウェア設定:万が一の故障に備え、複数のハードディスクを組み合わせてデータを守る技術(RAID)の構築や、メモリの増設など。
- サーバ機能の設定:Webサーバ、ファイルサーバといった役割に応じた機能のインストールと詳細な設定。
- ネットワーク設定:IPアドレスの固定、組織のネットワークへの接続設定。
- セキュリティ強化:不正アクセスを防ぐためのファイアウォール設定、不要な機能の停止、アクセス権の厳密な管理など。
- バックアップ設定:重要なデータを失わないように、定期的に自動でバックアップを取る仕組みの構築。
これらの設定は一つひとつがビジネスの根幹に関わるため、慎重かつ正確な作業が不可欠です。
違い③:求められる専門知識と環境
サーバキッティングを安全かつ確実に行うには、PC設定とは比較にならない高度な専門知識が求められます。
ネットワーク(TCP/IP)、OS(Windows Server/Linux)、セキュリティ、仮想化技術など、幅広い分野の深い知識がなければ、安定して稼働するサーバを構築することは困難です。
また、物理的な「環境」も重要になります。 多くのサーバは熱を持つため、適切な温度・湿度を保つ空調設備や、万が一の停電に備える無停電電源装置(UPS)が必要です。また、部外者が安易に触れられないよう、施錠できるサーバ室やサーバラックに保管するのが一般的です。
要注意!サーバキッティングを自社で行う場合の3つの課題
「サーバとPCの違いはわかった。でも、自社のIT担当者で対応できないだろうか?」と考える方もいるかもしれません。しかし、自社でサーバキッティングを行う際には、いくつかの見過ごせない課題があります。
課題①:高度な専門知識を持つ人材の不足
前述の通り、サーバキッティングには高度で幅広い専門知識が必要です。普段はPCのヘルプデスク業務を行っている「兼任IT担当者」が、いきなり専門的なサーバ構築を行うのは非常に困難です。知識不足のまま進めてしまうと、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。
課題②:作業時間と工数の増大
サーバキッティングは、一台設定するだけでも数日かかることも珍しくありません。さらに設定後のテストや検証作業にも多くの時間が必要です。担当者が本来の業務と兼任している場合、コア業務が圧迫されるだけでなく、膨大な人件費という「見えないコスト」が発生してしまいます。
課題③:セキュリティリスクと品質のばらつき
サーバの設定ミスは、個人のPCの不具合とは比較にならないほど影響が甚大です。たった一つの設定ミスが、全社のシステムダウンや、顧客情報を巻き込む重大な情報漏えい事故につながる危険性も否定できません。また、作業が属人化しやすく、担当者によってサーバの品質にばらつきが出てしまうリスクもあります。
課題解決の鍵は「アウトソーシング」!専門業者に任せる3つのメリット
ここまで解説したような課題を解決し、安全・確実にサーバを導入するための有効な選択肢が「アウトソーシング(外部委託)」です。専門業者に任せることで、企業は多くのメリットを得られます。
メリット①:高品質で安定したサーバ環境の構築
最大のメリットは、プロによる高品質なサーバ環境が手に入ることです。専門業者は豊富な知識と実績に基づき、セキュリティや将来の拡張性まで考慮した最適な設定を行います。これにより、ビジネスの土台となる安定したITインフラを実現できます。
メリット②:担当者の業務負担軽減とコア業務への集中
専門的で時間のかかるキッティング作業を専門業者に任せることで、IT担当者はその負担から解放されます。空いた時間やリソースを、自社のDX推進や業務改善といった、より戦略的で付加価値の高い「コア業務」に集中させることが可能になります。
メリット③:トータルコストの削減
「外注はコストが高い」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。自社で対応した場合の担当者の人件費、作業時間、設定ミスによるトラブル対応コストや機会損失などを総合的に考えると、専門業者に任せた方が結果的に「トータルコスト」を削減できるケースは少なくありません。
貴社のサーバ導入・運用をプロがサポートします
「サーバキッティングの違いや課題は理解できたけれど、どこに相談すればいいかわからない」 「PCだけでなく、サーバの導入もまとめてお願いしたい」
もしこのようにお考えでしたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。
東信システムサービスの「キッティングサービス」のご紹介
私たち東信システムサービスは、PC、タブレットはもちろん、専門知識が必要なサーバのキッティングまで、お客様のIT環境構築をワンストップでサポートします。 長年の実績で培ったノウハウを活かし、お客様一社一社のビジネス環境やご要望に合わせた柔軟なキッティングサービスをご提供可能です。面倒なIT機器の導入・設定はプロに任せて、貴社は安心してコア業務に集中してください。
ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ以下のページをご覧ください。
まとめ
今回は、サーバキッティングとPCキッティングの違いについて、基本から分かりやすく解説しました。最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。
- 目的が違う:PCは「個人」のため、サーバは「組織全体」のためのもの。
- 作業内容と専門性が違う:サーバキッティングは、RAID構築やセキュリティ強化など、高度な専門知識を要する複雑な作業が多い。
- 自社対応には課題が多い:専門人材の不足、時間的コスト、セキュリティリスクなど、多くの課題を伴う。
- アウトソーシングは有効な解決策:専門業者に任せることで、高品質な環境を、結果的に低コストで、安全かつ効率的に構築できる。
新しいサーバの導入は、ビジネスを成長させるための重要なステップです。この記事が、貴社のスムーズなITインフラ構築の一助となれば幸いです。


